リアリティ法廷番組にコミカルなひねりを加えた「BEEF」は、「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」とリアリティ法廷番組の「Judge Judy」が合体したような作品。ニューヨーク/ブルックリンのデリカテッセンを舞台に、主人公ルー(クリストファー・メローニ)と彼の家業、そして彼が仲裁するさまざまな“事件”を追っていく。ルーの店もルー本人も、この界隈で知らない者はいない。毎日、何かしらのモメゴト(ビーフ)を抱えた人々が、ルーが解決してくれることを期待して駆け込んでくる。昔ながらの堅実なアドバイス、簡明で公平な正義、あるいは、ビーフを気前よく切り分けてくれることを期待しているのだ。ルーは、店を手伝ってくれる自分の家族の仲裁もしなければならない。それぞれが実に意固地なのだ。だが、この番組の見所は何と言っても近所の人々の荒唐無稽な言い分。屋台で食べ物を売る者、DJ、フランス語教師、ダンス講師、離婚した人々、聖職者、演劇クラブの女優といった面々がやってきてはわめき散らす。誰もが正義を求め、誰もが言い分を聞いてもらいたい。そして何よりも彼らが待ち望むのは、ミート・ハンマーを振り下ろしてルーがこう宣言する瞬間……「俺に任せろ!」